埋葬
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 ヒトの不思議 > 人物
ハンス・クリスチャン・アンデルセンはデンマークを代表する作家で、『人魚姫』『親指姫』『マッチ売りの少女』など数多い童話の作家として知られている。アンデルセンの童話の中の言い回しの多くは慣用句となって今もデンマーク人の日常生活に用いられているくらいだ。
アンデルセンはデンマークのオーデンセで生まれ、貧しい少年時代を過ごした後、一四歳でコペンハーゲンに移り住む。演劇への情熱が強く、王立劇場に端役などで登場しながら、周囲の人々の好意から学校へはいり、そのことから詩作に手を染めるようになっていった。
この学校での生活は死の前年まで悪夢になって現れるほど苦しいものだったようだが、「臨終の子」などの詩はこの頃に作られたものだ。さらに同じ頃に作られた「デンマークにわれ生を受く」は今もデンマーク国民に愛唱され続けている。
二五歳のとき、学友の姉との初恋を通し、愛の詩を作り始め、その想い出は後の童話に生かされることになる。アンデルセンはいわゆる「もてる男性」ではなかったためか、その後の恋も実らず、生涯独身を通した。
童話以外にもロマンティックな『即興詩人』『絵のない絵本』などの作品でも知られているアンデルセンだが、実は深刻な「生き埋め恐怖症」だったのだ。
「眠ったり、気を失ったりしていると、その間に死んでいると勘違いされて、生きたまま墓地に埋葬されてしまうのではないか」という恐怖を、アンデルセンは常に持っていたようだ。
眠ってる間に葬式だの埋葬だのといった騒ぎがあれば、いくら熟睡していても目が覚めてしまいそうなものだが、本人はとにかく真面目に「生きたままの埋葬」を心配していた。
夜、眠るときに「私は死んでいるように見えるだけだ」という注意書きをベッドのわきに置いておいたり、外出するときは「私が死んでいるように見えても気を失っているだけだから、よく確かめてください」という注意書きをポケットに入れておいたり・・。
他人から見ると、ちょっとこっけいだが、本人は本気で生き埋めの恐怖と戦い続けていたのだ。
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