ソムリエ
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 ヒトの不思議 > 人物
ソムリエは、料理に合わせて客が選ぶワインのアドバイスをするばかりか、その店のワインの仕入れから在庫管理までを引き受ける。ソムリエを置いているというだけで、その店の格が一段も二段も上がった時代もあった。なにしろ、ブドウの産地から年度、銘柄までを記憶だけを頼りに当てたりするような、難しい資格試験を経てのことだから、ソムリエになるだけでも大変なことだったのだ。
そんなソムリエを日本の店で見かけると、灰皿のような銀色に光るものを首から下げていることがある。ほかにリボンのついた勲章のようなバッジをつけていることもあり、なんだかソムリエの資格やランクを表すもののような気もする。
しかし、実はあれはソムリエのシンボルである利き酒用の器をかたどったもので、ソムリエがプライドのしるしとしてつけているだけのもの。日本では見かけても、本場フランスなどで下げている人はまずいない。
名前をタートヴァンといい、かつてフランスのブルゴーニュ地方の醸造所で、ワイン蔵のワインの状態を見るとき、これに注いで色を確認し、発酵状態を調べたのだ。そのため、暗い酒蔵で樽からほんの少し注ぎ、ロウソクの明かりをかざしただけでも色味がわかるよう、タートヴァンの底はデコボコになっている。
今は照明技術も発達し、ワイン蔵でのチェックは普通にグラスに注いで行われるから、タートヴァンの出番はない。ましてやボトリングされたワインしか置いていないレストランでは無用のもの。
ワインブームのおかげで、初歩の資格ならただのワインマニアでも取得できるようになった今、レストランのソムリエは「プロである」ことの誇りのために、ぶら下げていると考えられなくもない。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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