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倒叙
【とうじょ】

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ミステリの形式の一つで、犯人およびトリックが冒頭から明かされ、主に犯人の視点で物語が展開するタイプのこと。典型的には、「殺意の発生 → 殺人計画の構想 → 殺害の実行 → 警察・探偵ら捜査陣との攻防」となる。代表作としてはTVドラマ「刑事コロンボ」(米)「古畑任三郎」(日)が有名。

推理小説では何らかの事件が起こるわけであるが、その事件の何に焦点を合わせるかによって、作品を3分類できるという基本的な考え方がある。

誰が犯人なのか = フーダニット(Whodunit, Who done it)
どういう方法だったのか = ハウダニット(Howdunit, How done it)
動機は何だったのか = ホワイダニット(Whydunit, Why done it)

これらはいずれも、探偵側が解明していく前提のものだが、倒叙ミステリは上述のとおり、犯人、犯行方法、動機が判っており、この3分類のどれにも当てはまらない。そのため、倒叙ミステリの楽しみ方は、犯人の心理描写、殺害時の緊張感、探偵側がどうやってトリック見抜くか、といったところになる。

倒叙ミステリ小説の始祖は1912年に刊行されたオースティン・フリーマンの短編集「歌う白骨」であるといわれているが、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」であるなどの異見もある。他にはフランシス・アイルズ「殺意」、フリーマン・ウィルズ・クロフツ「クロイドン発12時30分」、リチャード・ハル「伯母殺人事件」などが有名(俗にいう倒叙三大名作)。


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