インフレターゲット
【いんふれたーげっと】
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政府や中央銀行が、モノの値段(物価)を安定させるため、物価上昇率(インフレ率)の目標値を定めて金融政策を行うこと。一部新聞では「インフレ目標」と表記している。
元々は、インフレを抑える目的で、ニュージーランドが1990年に世界で初めて導入。同国のインフレ率は80年代半ば10%台後半だったが、目標値を1~3%に定め、91年には0.95%に抑制することに成功した。その後、カナダ(91年)、イギリス(92年)、スウェーデン(93年)でも相次いで導入された。
一方、日本のインフレターゲットはこれらの国と逆の考え方なのが特徴だ。90年代から景気後退が続き、物価が落ち込むデフレ経済から脱却する手段として注目されてきた。物価上昇率の目標をある程度定め、それに向けて中央銀行が政策金利を引き下げ、お金の供給量を増やすなどして景気を刺激する「金融緩和」を行う――という考えを2000年頃から一部の政治家などが主張。これに対し、「すでに日本銀行がゼロ金利政策を続けており、有効性が低い」などの異論があり、日銀も慎重な立場だったため長年実現はしなかった。
しかし2012年12月の総選挙を機に自民党の安倍晋三総裁がインフレターゲット導入を主張。安倍政権誕生を見込んだ市場が円安・株高に動き、総選挙後は自民党の圧勝の勢いも後押しして、日銀は方針変更を余儀なくされた。日銀は2013年1月22日、金融政策決定会合で、2%のインフレ率目標を導入する共同声明を政府との間で決定。日銀が14年から国債などの資産を金融機関から毎月13兆円買い入れるなど更なる景気刺激策を取ることになり、日本でも本格的なインフレターゲットが初めて行われることになった。
ただ、株価が跳ね上がっていたバブル期でもインフレ率は3%台で、92年以降は2%に届いておらず、政策達成は容易ではない。意図的なインフレ上昇は実体経済の回復を伴わず、物価だけが上昇する「スタグフレーション」を懸念する意見もある。
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