一票の格差
【いっぴょうのかくさ】
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選挙区によって議員1人当たりの有権者数が違うことで、一票の重みに生じる格差をさす。
都市部など有権者の数が多い選挙区では、有権者の数が少なくても当選する地方の選挙区と比べ、一票の持つ重みが小さくなる。2010年7月の参院選では、有権者の数が最も少ない鳥取県では、自民党候補が15万8,000票で当選したが、有権者の数が最も多い神奈川県では、民主党候補が69万6,000票を得ながら落選。「一票の格差」が5.00倍に上った。
過去の国政選から続くこうした状態について、弁護士のグループが、憲法14条で定める「法の下の平等」に反するとして、選挙無効の訴訟を再三起こしてきたが、最高裁(裁判長・竹崎博允長官)は12年10月17日、10年参院選について「違憲状態」と認める判決を下した(選挙無効の訴えは棄却)。前年には、09年衆院選についても同じ判断が出ており、衆参両院の選挙が共に「違憲状態」とされる初の事態となった。
最高裁の判決は選挙無効こそ認めなかったものの、「『1票の格差』の抜本的な是正に取り組まない国会に対する最高裁の強い警告」(12年10月18日付・読売新聞社説)であり、判決で「都道府県単位の選挙区を改める必要」と指摘されるなど、選挙制度の見直しの先送りが許されない段階に入ったといえる。
15人の裁判官のうち、弁護士出身の3人は「違憲状態」よりも厳しい「違憲」の見解を示し、13年参院選についても「現行法の枠組みで行われるならば、選挙無効の判断をもって対処すべき」(田原睦夫裁判官)との踏み込んだ意見もあった。参院選挙制度の改正を巡っては、神奈川、大阪の定数を2ずつ増やし、岐阜、福島を2ずつ減らす「4増4減」の公選法改正案が衆院で継続審議中(12年10月時点)。ただ、この案が実現しても最大で4.75倍の格差が残るため、都道府県単位から地域ブロック単位で選挙を行うなどの抜本的な改正が求める声が高まりそうだ。
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