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日本航空(JAL)再上場
【じゃるさいじょうじょう】

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(概要)
 再上場とは、経営破綻などを理由に株式上場を取りやめた企業が再び株式市場に上場して資金調達すること。
 経営が破綻した日本航空(JAL)は2010年1月に会社更生法の適用を申請。国(企業再生支援機構)の支援を得て再建に乗り出すことになり、同年2月に株式の上場を廃止した。
 民主党政権の要請で会長に就任した京セラ創業者・稲盛和夫氏ら主導の下、JALは人員削減や不採算路線からの撤退、燃費の悪い大型機の運行廃止などリストラを推進。その結果、12年3月期には同社過去最高を更新する連結営業利益2,049億円のV字回復を遂げた。
 同年9月19日に東証1部に再上場。売り出し価格は3,790円で、時価総額は約6,900億円と世界の航空大手でも指折りの規模に。
 国から借り入れた公的資金3,500億円を回収し、国民負担を回避することが確定的となった。

(解説)
 劇的な成功となったJAL再建だが、その代償にグループ全体の3分の1に当たる約1万6千人の人員削減を希望退職や整理解雇で行い、企業年金はOBの受給額を40万円から約3割カットモデルケース)するなど徹底したリストラを行った。
 残った社員の高コスト体質の見直しも敢行。以前は当たり前だったパイロットハイヤー通勤も深夜早朝以外は取りやめ、バスや電車での通勤に変更されたのはその典型例だった。

 JAL再建で、その存在を抜きに語れないのが稲盛氏だ。JALはもともと政府出資の特殊法人を成り立ちとし「お役所体質」が抜けきれなかったことが破綻の要因と指摘されてきたが、京セラ時代に培った経営手法を導入してこれを改革していった。
 自らの経営哲学である「フィロソフィ」の考え方を浸透させようと、「売上を最大に、経費を最小に」といった内容をまとめた小冊子を社員に配るなど社員の価値観変革を促した。また、コスト管理を徹底する製造業出身らしく、「アメーバ経営」と呼ばれる部門別採算制度を導入。現場の社員に数字を詳細に開示することで、整備士が雑巾の代わりに不要のTシャツを使ったり、客室乗務員が機内販売品の売上アップを心掛けたりするなど、社員の経営マインド向上に成果を挙げた。

 再上場のJALの時価総額は米Facebookに次ぐ規模で世界のマーケットでも注目されそうだ。経営破綻後に再上場した著名な事例としては「新生銀行」(旧日本長期信用銀行)や、すしチェーンの「京樽」などがあるが、5年以上かかることが多く、中には07年に再上場した住宅用建材メーカー「永大産業」のように28年かかった事例もある。
 わずか2年余りというJALの市場復帰は驚異的な成功ではあるとはいえ、今後更なる航空自由化や、格安航空会社(LCC)の利用増で競争が激しくなる可能性が高い。
 その中で収益力を維持できるかが再上場後のJALの経営課題だ。


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