オリーブの木
【おりーぶのき】
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(概要)
1990年代の政界再編で小党が乱立していたイタリアで95年、12の中道左派勢力が右派勢力に対抗するために結集した連合体を指す。
「平和の象徴で、丈夫で実がなる」のが名称の由来で、経済学者のロマーノ・ブロディ氏を統一首相候補に擁立。翌96年の総選挙で右派連合に勝利し、ブロディ政権が誕生した。
日本では、2012年7月に民主党を離党した小沢一郎氏のグループがオリーブの木をモデルに、大阪市の橋下徹市長率いる大阪維新の会など他勢力との連携を目指している。
(解説)
日本とイタリアは戦後の政治状況で共通する点が多い。日本では戦後、与党・自民党と野党第一党の社会党を軸にした「55年体制」が長く続いたが、イタリア政界もかつては中道右派のキリスト教民主党と左派のイタリア共産党を中心とした体制だった。
冷戦終結後の93年、日本で自民党の単独政権時代が終わりを告げ、社会党も再編の波に呑まれたのと同じように、イタリアでも94年の総選挙を機に右派、左派両勢力が分裂。さらに右派間でも政策がまとまらなかったり、地域対立も絡んだりするなどして多党化に拍車がかかった。
「オリーブの木」は、そうした状況でも、政策の近い小党が大同団結し、統一の首相候補を立てれば政権獲得が可能なことを示すモデルケースとなった。
日本の政治はこの約10年、民主・自民の二大政党を軸に展開したが、2009年に政権交代を果たした民主党が失速し、政権返り咲きを狙う自民党も国民の支持が伸び悩んでいる。その中で、橋下市長や石原慎太郎東京都知事ら地方の有力首長が国政進出の意向を示し、13年夏までに行われる次期衆院選を機に政界再編のシナリオが浮上している。
小沢氏のグループは、地方政党などとの連携を進め、オリーブの木のような連合体による政権奪取を目指している。かつては英米型の二大政党制導入を持論に掲げた小沢氏が、ここに来て多党制のイタリア政界をモデルにし始めたことは水面下で流動化が進む昨今の政局を象徴している。
しかし報道各社の世論調査では、「小沢新党」への期待は低く、大の「小沢嫌い」で知られる石原氏や、小沢氏の本命である橋下氏との連携は難航しそうだ。
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