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社会保障と税の一体改革
【しゃかいほしょうとぜいのいったいかいかく】

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(概要)
 世界最悪規模の財政再建と、先進国屈指の少子高齢化に対応した社会保障の財源確保のため、税制と社会保障制度を一体で改革すること。
 税制では消費税率の引き上げ、社会保障では年金システムの改編(非正社員への厚生年金適用拡大、会社員・公務員の年金統合など)、子育て支援のあり方(幼稚園と保育園の統合も視野に入れた施設改編など)――などが論点となってきた。
 民主、自民、公明3党が関連する7法案について修正協議を行い、2012年6月15日に合意。消費増税については、現行の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%と段階的に引き上げることとした。

(解説)
 野田佳彦首相が法案の国会成立に「政治生命をかける」と明言してきた一体改革。
 民主党の分裂含みの論争といった政局的な動きに比べ、政策の中身が多岐に渡ってわかりづらい感もあるが、3党間の合意を全体的に見渡すと、消費増税は比較的すんなりと決まったものの、負担増を代償にした社会保障の充実度という点では、国民の不満を解消するのは難しそうだ

 3党協議の結果、年金では、民主党がマニフェストで掲げていた「最低保障年金」は棚上げに。これは、すべての人に最低月額7万円程度を支給することで無年金や年金の少ない人に対処する政策だったが、自民が「バラマキになる」と反対して頓挫した。
 パートなど非正規労働者への厚生年金適用拡大についても対象を縮小。子育て支援についても、政府は幼稚園と保育園を一元化した「総合こども園」創設で、幼稚園は文科省、保育園は厚労相と二重行政の弊害をなくす意向だったが、自公政権時代からの「認定こども園」の拡充に落ち着いた。その結果、待機児童解消の効果があまり出ない懸念も出ている。

 こうした経緯について、「民主党政権の発足以来、初めてとすら言える『決める政治』の一歩」(2012年6月16日、毎日新聞社説)と評価する向きもある一方で、「まず増税ありき」(2012年6月16日朝日新聞社会面)と負担増を強調する報道もある。
 これに対し、新たに社会保障制度国民会議をつくって今後1年をかけて議論していくことから、「単純に『増税先行』と批判するのは間違い」(2012年6月16日読売新聞社説)という論評もある。


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