生活保護問題
【せいかつほごもんだい】
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(概要)
生活保護は、憲法25条の理念に基づき、生活が困窮する国民に対し最低限度の生活を保障し、自立を促進するために保護費を支給する制度。
しかし社会の高齢化や長引く不況などの影響で、過去最多を更新し続ける受給者数は209万人(2012年2月)。国や地方の財政を圧迫する。
不正受給の横行、あるいは行政に申請を拒否された困窮者が餓死するなどの問題が相次ぎ、制度の見直しが度々論議されている。
2012年5月25日には、お笑いタレントの河本準一さんが母親の受給について記者会見し、「自分の考えが甘かった」と謝罪、受給費の一部を返還する意向を示したが、親族の扶養義務の観点で論議を呼んだ。
(解説)
河本さんの母親の受給は、2012年4月12日に女性セブンが匿名で報道し、その後、自民党の片山さつき、世耕弘成両参院議員が追及を始めて騒ぎが拡大した。
十分な収入があるはずの有名芸能人の親族だけに「不正受給」も取りざたされたが、所属事務所の吉本興業は「不正受給のそしりを受ける違法行為は存在しない」と強調。母親が生活保護を受け始めた10数年前の時点では河本さんが無名だったこと、受給について福祉事務所と協議してきたことなどを挙げている。
しかし河本さんが母親をネタにタレント活動をした過去や、受給者増加に歯止めがかからない生活保護問題の社会的要素も絡んで批判が強まっていた。
記者会見を受けて世耕氏はツイッターで「『生活保護の前にまずは家族による扶養』という常識が浸透することを期待します」と表明。小宮山洋子厚労相も報道陣に対し、扶養できないという親族に説明責任を課す方向で生活保護法の改正を検討していることを明らかにした。
生活保護の問題が深刻化する中、制度の抜本的な見直し論議も浮上している。
解決策のひとつとして近年注目を集めるのが、経済学者のミルトン・フリードマンが提唱した「負の所得税」だ。一定の所得を下回る人に対し、その差額のある程度を政府が支払うもので、この理論に基づくと、生活保護や年金、失業保険などの一本化も可能という。
全国最多の生活保護受給者を抱える大阪市の橋下徹市長や大阪維新の会は、「負の所得税」の理念を意識した社会保障政策の改革案を検討しているが、実現の難しさも指摘されている。
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