維新八策
【いしんはっさく】

（定義）橋下徹・大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の政治構想。2013年夏までに行われる次期衆院選に向けた事実上の政権公約と言え、2012年3月10日に概要が公表された。実現を目指している大阪都構想に加え、首相公選制や参院の廃止も視野に入れた統治機構改革、年金の掛け捨て方式の導入など急進的な中身を打ち出し注目を集めている。

（ミニ解説）別名「維新版・船中八策」。幕末に坂本龍馬が打ち出した国家構想「船中八策」に倣い、
(1)統治機構の作り直し
(2)財政・行政改革
(3)公務員制度改革
(4)教育改革
(5)社会保障制度改革
(6)経済政策・雇用政策・税制
(7)外交・防衛
(8)憲法改正
――の計８つのテーマで構成している。能力・実績主義に基づく公務員の相対評価導入、教育行政への政治関与といった維新の会の取り組みを国レベルに発展させることを主張。さらに国政進出にあたって、TPPへの参加、日米同盟プラス豪州との関係強化で太平洋を守る防衛構想、憲法改正要件の緩和などを盛り込んでいる。しかし、首相公選制や参院廃止の実現には憲法改正が必要になる。年金の掛け捨て方式の導入については「掛け捨てでは年金を払わなくなる」との異論があるなど、概要公表時点では「見極めるべき課題がまだ多い」（読売新聞2012年3月13日付社説）といえる状況だ。維新の会にとっては次期衆院選に向け、公表した概要をどれだけ肉付けし、ブラッシュアップできるかが迫られている。